弟子の太宰治が「パビナール(鎮痛剤)中毒」で精神科病院に入院していたのを、間近でその症状を見ていた井伏鱒二が、同氏の師、佐藤春夫に伝える書簡が見つかった。今回新たに見つかった書簡は、井伏から佐藤に宛てた7点。専門家は、大宰が「このとき味わった屈辱感や被害者意識が不信感にさいなまれる主人公として文学的に表現され、代表作『人間失格』につながったとみている。
これらの書簡は佐藤の親族が寄贈した遺品整理中に見つかり、東京大の河野龍也准教授が確認した。
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佐藤春夫の新たに100通超の家族宛て手紙 出身地で見つかる
大正から昭和にかけて作家、詩人として活躍し、近代文学を代表する和歌山県出身の佐藤春夫が、家族に宛てて書いた100通を超える手紙が新たに見つかった。これは昭和26年までの35年間に家族に宛てて書かれた手紙など118通で、実践女子大の河野龍也客員教授らが確認した。佐藤の親族から出身地の和歌山県新宮市にある佐藤春夫記念館に寄贈された資料から見つかった。
今回見つかった手紙の中には、親友で作家、谷崎潤一郎の妻だった女性と結婚したことから世間で話題になった際、昭和5年9月、父親宛てに心配する必要はない旨、伝える内容や、脳出血で倒れた佐藤春夫を看病する妻からの7通の佐藤の父親宛てには、入院生活の様子や病状などについて書かれたものもあった。佐藤春夫と家族の意外なほど親密な関係性をうかがわせるものだ。
江戸初期の北海道津波の堆積物分布は内陸2kmまで, 想定より狭い
新潟大学の研究チームは9月18日までに、江戸時代初期の17世紀前半に北海道を襲ったとされる巨大津波について、北海道南部の勇払平野(所在地:苫小牧市)に残る痕跡の分布範囲を明らかにした。結論は、地中の津波堆積物は現在の海岸線から内陸約2kmにとどまり、2020年4月、内閣府の有識者会議が公表した、沿岸から最大約10km、100㎡超の浸水想定より大幅に狭いーとの見解。
調査は2019〜2022年度に実施。計86地点から最深で約1.5〜2mの地層を引き抜き、過去3,000年間の堆積物を調べた。17世紀の地層からは津波によって海から運ばれた海洋性の植物プランクトンを発見。CT分布を追跡したところ、海岸から約2km以遠で確認できなくなったという。
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奈良・桜井市の古墳から出土の大量の鏡は邪馬台国・卑弥呼と関係
奈良県立橿原考古学研究所の分析によると、2009年に桜井市の茶臼山古墳から出土した大量の青銅鏡の破片について、もとの鏡は100枚を超える数だったことが分かった。一つの古墳から100枚以上の鏡が出土した例はほかになく、専門家は邪馬台国の女王、卑弥呼と関係している可能性があるとしている。
大量の青銅鏡の破片を3次元で計測し、コンピューター上で組み合わせ復元したところ、もとの鏡は103枚に上った。鏡は14種類あり、最も多かったのは邪馬台国・卑弥呼が中国から授かったとの説もある「三角縁神獣鏡」で26枚あった。当時、青銅鏡は希少なもので、「出土した鏡が1枚だけでも、その古墳に埋葬されたのは有力な首長」と判断される。ところが三角縁神獣鏡をはじめ、この種の鏡が「100枚以上納められた古墳があるのは異例」で、専門家は「考古学的に非常に価値の高い発見」としている。