台湾で旧人・デニソワ人の骨 人類との交雑解明に期待

東京大学、総合研究大学院大学などの国際共同研究チームは、台湾の海底で見つかった骨が旧人「デニソワ人」のものであることを突きとめた。骨に残るたんぱく質の解析から明らかにした。デニソワ人はゲノムの一部が日本人にも引き継がれた太古の旧人で、その化石が温暖なアジア地域で見つかったのは初めて。
この骨をもとにした化石の分類が可能になり、今後デニソワ人の分布や、人類「ホモ・サピエンス」との交雑解明が、人類史を解く手がかりになるものと期待される。

纏向遺跡で出土の織物は最古級の矢入れの一部と判明

奈良県立橿原考古学研究所の調査によると、邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纏向遺跡で、1971年に出土した3世紀中頃(古墳時代初め)の織物が、箱形の矢入れ「ゆき」の一部とみれらることが分かった。
織物は用途不明のまま同研究所付属博物館で保管され、マイクロスコープで調べ直した。長さ20.2cm、幅7.9〜8.2cmで、細い絹糸を使ったとみられる。経糸と緯糸を交差させた”綾織り”で”杉綾文様”をつくり出していた。絹の綾織りは、中国の技術とみられる。
ゆきは3世紀後半〜4世紀(古墳時代前期)の古墳の副葬品として知られ、中央から地方に配布されたと考えられている。また、ゆきは普通の繊維製品ではなく、古墳時代の三角縁神獣鏡と同様に政治的な意図が込められていた。
今回判明した国内最古級のゆきの出土で、同研究所では纏向遺跡が古代王権の中心地だったことを改めて示す発見としている。

大阪・関西万博 4/13開幕「いのち輝く未来社会のデザイン」

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする大阪・関西万博の開会式が4月12日、大阪・夢洲(所在地:大阪市此花区)の会場で開かれ、国内外の要人ら約1,300人が出席した。日本と海外の158カ国・地域、7国際機関が参加する万博が13日に開幕し、10月13日まで184日間にわたる祭典が始まった。万博を運営する日本国際博覧会協会は会期中、国内外から2,820万人の来場を見込んでいる。
開会式には天皇、皇后両陛下、万博名誉総裁の秋篠宮ご夫妻が出席されたほか、石破首相や大阪府の吉村知事、参加国の代表らが参加した。
会場の面積は東京ドーム33個分に相当する約155ha。参加国や国内企業が出展する計84のパビリオンが建ち並び、貴重な文化財や次世代の技術が展示される。
中心部には、今回の万博のシンボルともいえる世界最大の木造建築物となる大屋根リング(1周2km)が組まれ、海外各国の57館をすべてリングの内側に置くことで、「多様でありながら、ひとつ」というメッセージが込められている。
①入場券の販売低迷②熱中症対策③メタンガス発生リスク④大混雑必至の会場へのアクセスーーなど様々な課題・難題を抱えながらも、6カ月余りにわたる万博がスタートした。ともかく何より「安心で安全な万博の実現」を祈りたい。

『坊っちゃん』『吾輩は猫である』漱石の自筆原稿を確認

天理大付属天理図書館(所在地:奈良県天理市)は4月10日、文豪、夏目漱石(1867〜1916年)の小説『吾輩は猫である』と『坊っちゃん』の自筆原稿を確認したと発表した。両作品の原稿は5月18日〜6月15日の天理ギャラリー(所在地:東京都千代田区)などで公開される。
原稿はペン書きで、『吾輩は猫である』は終盤にあたる第10章の62枚、『坊っちゃん』は作品全体の150枚。いずれも欠落のない完全形という。自筆原稿はいずれも、1995年に松山市で開かれた展示会の図録に掲載されていたものの、その後の所在は把握されていなかった。

栃木・下野市の龍興寺で奈良時代の僧, 道鏡しのぶ供養祭

栃木県下野市の龍興寺で4月7日、奈良時代の僧、道鏡をしのぶ供養祭が開かれた。龍興寺は道鏡の墓とされる「道鏡塚」があり、4月7日は命日と伝えられる。同日は寺の関係者や県内外の歴史愛好家らおよそ30人が参加した。僧侶の読経や参加者らの焼香の後、本堂の隣にある道鏡塚の前で祈りが捧げられた。
道鏡は奈良時代、父・聖武天皇、母・光明皇后の間に生まれ、当時、異例だった女帝・称徳天皇(孝謙天皇が重祚)の病気平癒に尽力したことで篤い信任を得て、僧籍界のトップに昇り詰め、絶大な権力を持った。だが、称徳女帝崩御後、失脚し流され、現在の下野市で亡くなったと伝えられている。

人気漫画『日出処の天子』が能狂言に 野村萬斎さん演出で

人気漫画『日出処の天子』が新作の能狂言として初めて舞台化されることになり、原作者の山岸凉子さんはじめ、演出を手掛ける狂言師、野村萬斎さん、人間国宝の能楽師、大槻文藏さんらが4月9日、記者会見し公演への意気込みを語った。
原作の漫画『日出処の天子』は、少女漫画の金字塔として知られる作品。聖徳太子を超能力のある美少年と設定し、周囲の人物との関わりを同性愛の要素も取り入れながら、独自の解釈で描いた壮大な物語。野村萬斎さんが演出と主人公の厩戸皇子、後の聖徳太子の役を演じる。
原作の山岸さんは「漫画は二次元の世界ですが、三次元で生身の人間が演じる舞台で、どう表現されるのかとても楽しみにしている」と語った。また演出の野村さんは「この作品は理詰めではなく、象徴性を含めたシーンで、なにか飛び越えられるスケールの大きさがあり、能狂言の手法で表現できるのではないか」と構想を話していた。公演は8月に東京・銀座の観世能楽堂で行われる。