宮沢賢治の詩「S博士に」の直筆草稿見つかる 主治医の蔵書から

2020年、宮沢賢治(1896~1933年)の出身地、岩手県花巻市に寄贈された、故佐藤隆房氏のコレクションから見つかった賢治の作品、詩「S博士に」の草稿が、本人の直筆の可能性が高いことが判明した。
この草稿は、岩手県花巻市の総合花巻病院の前身、花巻共立病院の初代院長だったのが佐藤隆房氏で、賢治の主治医であり「S博士に」のモデルとされる。草稿の真贋判断を担ったのが堀場製作所のグループ会社、堀場テクノサービス(所在地:京都市南区)のX線分析装置。これまでゴッホの絵画や江戸時代の浮世絵の分析に協力しているという。
宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」などで知られる岩手県花巻市出身の詩人・童話作家。

中国の探査機 火星着陸に初めて成功 旧ソビエト,米国に次ぎ

中国の国営メディアは、同国の無人探査機「天問1号」が5月15日午前、初めて火星への軟着陸に成功したと伝えた。火星への着陸は旧ソビエト、米国に次いで3カ国目。探査機に搭載された探査車が今後火星の表面を走行し、地形・土壌など地表面の探査を実施する予定。成功すれば米国に次いで2カ国目となる。

国家と人々の安寧祈願 京都・葵祭「社頭の儀」路頭の儀 中止

京都三大祭の一つ、下鴨神社(所在地:京都市左京区)と上賀茂神社(所在地:京都市北区)の祭礼「葵(あおい)祭」が5月15日あり、祭事の一つ「社頭(しゃとう)の儀」が参列者を限定して行われた。下鴨神社では午前11時ごろ、天皇のお使いが舞殿に昇り、国家と人々の安寧を祈願する祭文を読み上げた。
ただ、葵祭のハイライト、平安時代の雅な貴族の装束で約500人が都大路を練り歩く「路頭(ろとう)の儀」は、新型コロナウイルスの感染拡大で2020年に続き中止された。

東大寺 東京芸大が復元した「執金剛神立像」2体を公開

東大寺(所在地:奈良市)は、東京芸術大から寄贈された国宝「執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)」の復元模刻2体を報道陣に公開した。同大は東大寺や東京理科大とともに、科学分析に基づいて、本体を彫刻、彩色し、約10年がかりで完成させたという。
復元を手掛けたのは、東京芸術大学保存修復彫刻研究室の「東大寺法華堂執金剛神立像完全復元プロジェクト」。制作資金の一部はクラウドファンディングで募り、約1,800万円が集まった。
執金剛神立像(高さ173cm)は奈良時代の8世紀中ごろの作。東大寺法華堂で毎年12月16日にだけ公開される秘仏として知られる。寄贈された2体のうち1体は漆を使った技法で現状の姿を模し、もう1体は当時の極彩色を忠実に再現している。なお、
像の一般公開は秋ごろの予定。

奄美・沖縄 世界遺産へ IUCNが「登録が妥当」と勧告 5件目

環境省は5月10日、日本政府が世界自然遺産に推薦する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)について、登録の可否を事前審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN、本部:スイス)が「登録が妥当」と勧告したと発表した。4島からなる推薦地は、95種の絶滅危惧種が生息する。
登録されれば、日本の自然遺産登録は10年ぶり5件目。7月16~31日にオンラインで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定される。

正倉院の屏風・織物の紋様に国内未確認の染色技法 宮内庁

宮内庁正倉院事務所の分析によると、奈良の正倉院に伝わる織物の紋様の染色に、国内ではこれまで確認されていない技法が使われていることが分かった。正倉院事務所は年に一度、秋の点検に合わせて正倉院の宝物を調査している。
今回は江戸時代に当時の東大寺の別当がつくらせた屏風に使われていた織物の紋様に、どのような染色技法が使われているか調査した。紋様の繊維を顕微鏡などで詳しく分析したところ、これまで「ロウケツ染め」という技法が使われていると考えられていたが、実際には何らかのアルカリ性の物質で染まらないように加工されていることが分かったという。
この技法は、中国・新疆ウイグル自治区にあるトルファン・アスターナ古墳群から出土した8世紀ごろのものとみられる織物で使われていることが確認されているが、国内では例がない。