「桜田門外の変」後の幕府・薩摩藩交渉の新史料

江戸期幕末に起こった「桜田門外の変」後、襲撃に関わった薩摩浪士を追う幕府側と、薩摩藩側とのやり取りを記録した新たな史料が見つかった。幕閣の大老・井伊直弼暗殺の事後処理を巡る生々しい交渉の様子を伝える内容だ。
史料は「佐敷表早書」と題した覚書で、当時薩摩藩が参勤交代で利用した本陣があった佐敷宿(所在地:熊本県芦北町)でのやり取りを記したもの。事件は安政7(1860)年3月3日に発生。覚書は改元で万延元年となった同月28、29日の日付がある。
史料には幕府の使者が佐敷を訪れた際の詳しい様子が描かれるほか、、薩摩浪士、有村雄助、次左衛門兄弟の急進的な行動に頭を悩ませる薩摩藩が、幕府の追及を和らげようと「鯛」や「鯨」など賄賂の目録を差し出したと記されている。
薩摩藩が幕府に賄賂を贈ったことは明治時代の記録で明らかになっているが、具体的な内容が書面で確認できるのは初めて。ただ、実際には貨幣で支払われたとみられる。

小惑星リュウグウの石から太陽系最初期の物質発見

東北大と東大は2月16日、小惑星リュウグウの石の中から、太陽系最初期にできた可能性のある物質を発見したと発表した。これは、原始太陽系星雲の1000℃以上の高温環境でできた固体粒子で、CaとAIに富む包有物(以下、CAI)とコンドリュールに類似した物質。これらは原始太陽系星雲内側で形成し、太陽から遠いリュウグウ母天体まで運ばれたと推定した。

奈良・興福寺で「涅槃会」4年ぶり参拝者が参加

奈良市の興福寺で釈迦の命日とされる2月15日、釈迦の遺徳を偲ぶ「涅槃会(ねはんえ)」と呼ばれる法要が行われた。同寺の本坊では臨終を迎えて横たわる釈迦の周りで弟子や動物が嘆き悲しむ様子が描かれた2メートル四方ほどの大きな「涅槃図」が掲げられている。雅楽の笛や太鼓の演奏が流れる中、10人の僧侶がお経を唱える。新型コロナウイルス禍で参拝者の参加が見合わせられてきただけに、4年ぶりに厳かな雰囲気の中、目にする法要だった。

中原中也『朝の歌』の直筆原稿見つかる 山口で公開

詩人、中原中也(1907〜1937年)の作品『朝の歌』の、原稿用紙に書かれた直筆原稿とはがきが新たに見つかり、出身地・山口県の中原中也記念館で2月15日、公開が始まった。公開は19日まで。
同館では「朝の歌は詩人、中也の出発点になった、大切な資料」と話している。これまでの直筆原稿は第3連1行目までしかなかったが、今回の新発見で4連全文が初めて直筆で読める。この直筆原稿は2022年7月に東京都内のオークションで同記念館が購入した。署名はないが、筆跡から直筆と判断した。
朝の歌は、1926年に初稿が書かれ、1929年に雑誌『生活者』に発表。その後、1934年に出版された詩集『山羊の歌』に収められた。

大阪・豊中市で古墳時代の集落跡 竪穴式住居を確認

大阪府豊中市教育委員会は2月7日、実施中の本町遺跡第45次調査で古墳時代後期(6世紀ごろ)の竪穴式住居と造り付けカマド、飛鳥時代から奈良時代に欠けての溝など、各時代の集落の遺構を発見したと発表した。12日に調査担当者による、一般向け現地説明会が行われる予定。
豊中市・本町遺跡は、古墳時代後期に豊中市北部で本格化した須恵器生産(桜井谷窯跡群)と緊密な関わりのある集落と考えられている。