東大 南海トラフ 3つのタービダイトの分布を発見 四国, 紀伊で

東京大学の研究グループは、南海トラフに沿って沈み込む深海堆積物を調査した結果、砂層に富むタービダイトがスロー地震活動の静穏域(プレート間固着の強い領域と概ね一致)に集中して分布することを発見した。これは海洋研究開発機構が過去に南海トラフで取得した反射法探査データを深海掘削データをと組み合わせ、海溝で沈み込む深海堆積物を分析した結果、分かったもの。
西側タービダイトは主に四国の足摺岬沖に、中央側タービダイトは紀伊半島の潮岬沖に、東側タービダイトは紀伊半島の熊野沖にそれぞれ分布。一方、四国の室戸岬沖ではタービダイトが分布せず、泥質堆積物のみが沈み込んでいた。南海トラフ沿いの深海堆積物をを分析し、沈み込むタービダイトの全貌を明らかにしたのは、今回が初めて。

京都・祇園祭「鉾建て」始まる 市内四条通など中心部で

京都市下京区の四条通など中心部で7月10日、祇園祭の前祭(さきまつり)の山鉾巡行(17日)で都大路を進む5基の鉾を組み立てる「鉾建て」が始まった。この日、組み立てが始まったのは毎年巡行の先頭を進む長刀鉾、函谷鉾、月鉾、鶏鉾、菊水鉾の5基。「縄がらみ」と呼ばれる、釘を一切使わない伝統技法を用い組み立てられる。14日までに前祭に参加する鉾・山合わせ23基が立ち並ぶ。また、後半の後祭(あとまつり)では鉾・山合わせ11基が立ち、24日に巡行する。

古代の高貴な甘味料「甘葛煎」の味を再現 奈良市でお披露目

奈良市内のかき氷店や奈良女子大学の協力研究員らは7月9日、清少納言の随筆「枕草子」にも登場する甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」の味を再現したシロップを開発、奈良市内の施設でお披露目会を開いた。これはおよそ4年かけて共同開発したもので、シロップに渋柿から抽出した液、柿渋を加えることで、甘さがすっと消える甘葛煎の特徴が再現できたという。
甘葛煎は、ツタなどから採取した樹液を煮詰めてつくられる古代の甘味料で、平安時代の「枕草子」の中で清少納言は、これを用いたかき氷を高貴なものの一つとして取り上げている。

世界遺産・熊野那智大社 「那智の滝」大しめ縄の張り替え

世界遺産・熊野那智大社(所在地:和歌山県那智勝浦町)は7月9日、ご神体「那智の滝」の上に架かる大注連(しめ)縄の張り替えを行った。同地で14日に行われる「那智の扇祭り(火祭り)」を控えた恒例行事。
日本列島各地に記録的な豪雨をもたらしていた悪条件の中、白装束に烏帽子姿の神職ら5人が高さ133mの滝の落ち口で、いつもより水量や流れが速くなった川に入って作業にあたる。命綱を着けてはいるが、今回ほどの悪条件はあまりないだろう。足を取られないように用心しながら、長さ約26m、重さ約4Kgの注連(しめ)縄を慎重に張り替えた。このしめ縄の張り替えは年の瀬にも行われる。

奈良「平城京」跡で”修理司”の文字記された瓦が出土

奈良文化財研究所などによると、奈良市の「平城京」跡で宮殿などの修理や工事を担ったとされる役所、”修理司”の文字が記されたとみられる瓦が見つかった。出土した現場は、東大寺と並ぶ規模を誇った「西大寺」のある一帯で、専門家は「大規模な開発が行われていたことを示す大きな発見」としている。
この瓦は、奈良市の元興寺文化財研究所が2022年行った発掘調査で見つかった。サイズは長さ21cm、幅17cm。出土現場の西大寺付近に修理司の拠点が置かれていたと考えられるという。瓦は7月15日から橿原市の奈良県立橿原考古学研究所の附属博物館で展示される。

文科省 本年度は見送り「飛鳥・藤原」「彦根城」世界遺産推薦せず

永岡桂子文部科学相は7月4日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への世界文化遺産候補(2件)の推薦を本年度は行わないことを明らかにした。これにより、有力視されていた「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県)の登録審査は最短で2026年となる。また、「彦根城」(滋賀県)は推薦前にユネスコ諮問機関が関与して助言する事前評価で、価値を明確にしたうえで遺産登録を目指すのが有効と判断した。