京都・東林院で”沙羅双樹の花”見ごろ 世の儚さ表す

京都の名刹、妙心寺(所在地:京都市右京区)の境内にある寺、東林院の庭の”沙羅双樹の花”にも例えられるナツツバキが、見ごろを迎えている。開花に合わせて毎年公開されており、今年は23日まで公開の予定。
東林院には10本あまりのナツツバキが植えられている。「平家物語」の冒頭に登場、世の儚(はかな)さを表すように、いま直径5cmほどの白い花があちこちで咲く一方、苔の上には咲き終えた花が落ちている。訪れた人たちは縁側から、その対象的なさまに見入っていた。

ゆかりの奈良・不退寺で在原業平しのぶ「業平忌」

奈良市の不退寺で5月28日、古今和歌集で知られる平安時代の歌人、在原業平の命日にあたり、業平をしのぶ法要「業平忌」が営まれた。同寺は業平が建立したと伝えられるゆかりの深い寺。この時期に毎年行われている。
同日は本堂に業平の姿を描いた掛け軸が架けられ、業平が彫ったととされる本尊の「聖観音菩薩立像(しょうかんのんぼさつりゅうぞう)」の前には、歌にも詠まれた菖蒲(しょうぶ)の花が供えられた。参列した人たちは僧侶がお経を唱える中、焼香し静かに、情熱的かつ数奇な生涯を送った業平をしのんでいた。

「SLIM」月面データから月の起源探る「カンラン石」確認

立命館大学や会津大学などの研究グループは5月27日、千葉県で開かれた学会で、今年1月に日本初の月面着陸に成功した無人探査機「SLIM」が得た月面の岩石の観測データを解析した結果、月の内部に存在し、月の起源を探るうえで重要な手掛かりになる「カンラン石」の存在を確認したことを明らかにした。
このカンラン石はかつて月の内部にあった可能性があるとして、研究グループは今後詳しい化学組成を調べるとしている。月の内部のカンラン石を分析し、地球のものと比較できれば、月は地球に別の天体が衝突して一部が飛び散ってきたとする、現在有力な説を裏付けることにもつながり、月の起源を探るうえで重要な手掛かりになると期待される。

『君死にたまふことなかれ』15言語に翻訳 堺で企画展

大阪府堺市の文化観光施設「さかい利晶の杜」は、同市出身の歌人、与謝野晶子の代表作『君死にたまふことなかれ』に込められた思いを世界の人々に知ってほしいと、15の言語に翻訳、紹介した企画展を開いている。同企画展は6月16日まで。
日露戦争(1904〜1905年)当時、与謝野晶子は生まれ育った実家、商家の跡継ぎとなるはずの、激戦地にいる弟の身を案じて「あゝをとうとよ 君を泣く 君死にたまふことなかれ」と、どうか戦死だけはしないでほしいとの心情を切々と詩に詠み上げた。企画展ではこの詩をウクライナ語、ロシア語、ヒンディー語、韓国語など15の言語に翻訳し、パネル展示している。
世界各地で激しい戦闘が続く中だけに、戦争の悲惨さを痛切に訴える言葉として読む人の心に”刺さる”のではないか。

京大 iPS細胞から精子, 卵子のもと大量作製成功, 医療応用

京都大学高等研究院の斎藤通紀教授らのグループは5月21日、ヒトのiPS細胞から卵子、精子のもとになる細胞を大量につくり出す方法を開発したと発表した。これにより、将来的に不妊治療など医療への応用が期待される。
グループはヒトのiPS細胞から生殖細胞のもとになる細胞をつくり、さらに卵子のもとになる「卵原細胞」に変化させる方法を開発しているが、できる細胞の数が少ないことが課題だった。今回グループは、様々な細胞の分化を助ける働きをする「BMP」というタンパク質を加えて培養したところ、課題だった「卵原細胞」を大量に作製することに成功したという。細胞の数は4カ月の培養期間でおよそ100億倍に増えた。また、同じ方法で精子のもとになる細胞も大量に作製することができたとしている。

ホンダジェット藤野道格氏に名誉の航空賞 米航空学会

米国航空宇宙学会は5月15日、ホンダの小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」を開発した藤野道格氏に「ダニエル・グッゲンハイム賞」を授与した。同賞は航空業界で名高い賞の一つ。これまでの受賞者の中には、世界初の有人動力飛行に成功した米国のライト兄弟の弟の名がある。日本人の受賞は初めて。