江戸時代、若狭地域の海産物を京都へ運ぶ鯖(さば)街道の主要拠点の一つとして隆盛を極めた熊川宿(所在地:福井県若狭町)。今、同地の古民家に若者らが流入、「挑戦する場」として活気が戻りつつある。古民家など歴史的な街並みに魅せられた若者ら、旧来の慣習にとらわれない、県外からの流入者が少しずつ一帯の空気を変えつつある。
こうした変化を受け、町も観光収入に頼るだけでなく、「暮らし、働ける街」を目指し、踏み出しつつある。県外からの流入者たちと地元住民との両輪で、新しい視点で循環型の新たな宿場町を模索する。
JR小浜線の上中駅(所在地:若狭町)から、東へ車で10分ほど、滋賀県境に近い北川沿いの谷間に熊川宿はある。かつて京都と小浜を結ぶ若狭街道の物資流通の中継拠点として繁栄した若狭町熊川宿一帯の面積は約10.8ha。街道に沿って用水路が流れ江戸時代から明治、大正の伝統的な建物が軒を連ね、歴史的な街並み集積がみられる。
若狭町熊川宿は、2007年に国土交通省の「日本風景街道」に登録され、2012年には空き家を活かした移住推進事業が実施されている。2015年に「御食国若狭と鯖街道」が日本遺産に認定。2018年には街道シェアオフィス&スペース「菱屋」・熊川宿、若狭美術館がオープンしている。