奈良時代の聖武天皇ゆかりの宝物を集めた「第71回正倉院展」が10月26日から始まった。令和で最初となる今年の正倉院展には初出展の4件を含む41件の宝物が出展され、11月14日まで奈良市の奈良国立博物館で開かれている。 今回の展示で興味深いのは革製のくつ、「衲御礼履(のうのごらいり)」だ。これは聖武天皇が大仏開眼法要の際に使用したと推測されるもの。表面には赤く染めた牛の革が、内側には鹿の革が用いられ、真珠や水晶などでつくられた花形の飾りがあしらわれている。また、「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)」は、香をたくのに使う道具で、獅子の形をした飾りが取り付けられており、器の側面には植物や蝶の文様など豪華な装飾が施されている。