戦国武将、上杉景勝の家臣の直江兼続(なおえかねつぐ)の、豊臣秀吉の気さくで人使いのうまさを伝える書状が見つかった。書状は、伏見城普請に派遣されていた兼続が、京に向かう途上の主君・景勝の随行者とみられる人物に宛てたもの。この中で、伏見城(所在地:現在の京都市伏見区)築城の工事現場に秀吉が自ら赴き、現場の作業員一人一人に声をかけた様子が記されている。 文禄3(1594)年の4月2日付で書かれ、兼続の花押がある。兼続は築城現場の様子を報告するとともに、「昨日も大(太)閤様御覧なされ候(そうろう)、普請衆何(いずれ)二も、御言葉を被下(くだされ)候」(文意:昨日も秀吉様が工事をご覧になりました。工事をしている者たちに直接言葉をかけて下さいました)と、現場の士気を高めるための気配りを見せた様子を記している。 東大史料編纂所と新潟県立歴史博物館などの共同調査で確認された。