平城京から出土の木簡の高精細デジタル画像の公開始まる

奈良文化財研究所は、奈良・平城京の跡で見つかった国宝などの木の札、木簡について理解を深めてもらうため、木簡の高精細なデジタル画像の公開を始めた。同研究所などが所属する独立行政法人 国立文化財機構は、保有する文化財の高精細なデジタル画像をインターネット上のデータベースで公開する取り組みを3年前から進めている。
このデータベースに12月から、同研究所が所蔵する、墨で文字が書かれた木の札、木簡の画像およそ200点が新たに加わった。内容は様々で、当時の役人の仕事の連絡事項を書き留めたもの、都に運ばれた物品の荷札として使われたものなどが説明文付きで公開されている。中には、国宝に指定されている貴重なものもある。

京都・金閣寺の舎利殿の屋根の18年ぶり葺き替え工事完了

京都・金閣寺で18年ぶりに4カ月にわたって行われていた、金色に輝く舎利殿の屋根の葺き替え工事が12月28日終了し29日、報道関係者に公開された。
傷んだこけら葺きの屋根の葺き替えで、およそ320㎡の屋根に10万枚のサワラの木の板を張り替えた。屋根の色は以前より明るい茶色になっている。また、屋根の上の「鳳凰」など普段手の届かない場所の金箔の補修もされ、縦横およそ10cmの金箔1万枚が使われたという。

“黒いあごひげ”の足利義満 新たな肖像画発見 狩野派の絵師作か

室町幕府の隆盛期をつくった第3代将軍、足利義満の異例の姿を描いたとみられる肖像画が新たに見つかった。黒々としたあごひげや若々しい表情などが特徴。見つかった肖像画は縦1m余り、横40cmほどの、僧侶の姿をした人物が畳に座ったもの。
東京大学史料編纂所などが調査したところ、顔つきや衣装などから、足利義満の出家後の姿を描いたと判断された。また、肖像画の布地の絹や押された印の特徴から義満の死後150年ほど経過した1550年前後に狩野派の絵師が描いたとみられるという。
義満の肖像画として広く知られているのは、京都・鹿苑寺(金閣寺)所蔵のもの。これと比べると別物で、黒々としたあごひげや、顔のしわが少なく若々しい表情など、一気に若返った義満だ。

京都・東寺で「終い弘法」例年の半分以下の500の露店が正月用品

弘法大師・空海の月命日にあたる12月21日、京都の東寺で1年を締めくくる今年最後の縁日、「終(しま)い弘法」が開かれた。出店したのは例年の半分以下のおよそ500店にとどまったが、正月用の食材や飾り物を販売する露店が、飛沫を防ぐためのシートを掛けるなどして立ち並んだ。
今年の「弘法市」は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4月から中止となり、11月から感染防止対策を取ったうえで8カ月ぶりに再開されたばかりで、今回もかつての人ではないが、今年最後の弘法市に訪れた人たちは、正月用の数の子や餅、しめ縄などを買い求めていた。

「はやぶさ2」小惑星の物質5.4g 目標上回る量採取の成果

萩生田文部科学相は12月18日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を視察し、「はやぶさ2」のカプセルから採取された小惑星「リュウグウ」のものとみられる物質の量が5.4gと、目標だった0.1gを大幅に上回る量だったことを明らかにした。5.4gあれば今後、様々な分析や研究ができるという。
サンプルの容器は、まだ2つの部分の開封作業が残っていて、どのような物質が採取されているのか注目される。

日本「伝統建築工匠の技」無形文化遺産へ登録決定 宮大工・左官など

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の政府間委員会は12月17日、日本の木造建築物を受け継いでいくための宮大工や左官職人などの技術「伝統建築工匠の技」の無形文化遺産への登録を決めた。
対象は①文化財建造物の保存に欠かせない「建造物修理」の技術②屋根を葺(ふ)く技術の一つ「かやぶき」③壁の表面を土や漆喰(しっくい)で仕上げる「左官」④「畳製作」-など17の伝統技術で構成されている。
今回の登録で日本の無形文化遺産は「和食」や「和紙」などに加え22件となる。