葛飾北斎の肉筆画 史上最高の6億円余

江戸後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760〜1849年)の肉筆画「雪中美人図」が、東京都内で開かれたオークションで6億2,100万円(手数料含む)で落札されたことがわかった。落札したのは家具・日用品販売大手のニトリ(本社:札幌市)で、北斎作品の落札額としては史上最高額という。
雪中美人図は、吉原の花魁(おいらん)と思われる女性が雪の中に佇む姿を描いた、1813〜1819年頃の作品とされる。

大阪・杭全神社で「五条国永」作の剣

大阪市平野区の杭全(くまた)神社で、平安時代の刀工「五条国永(くになが)」の名前が刻まれた剣が見つかった。刀剣に詳しい、ふくやま美術館館長の原田一敏・東京芸大名誉教授(日本刀剣史)が11月10日、同神社で鑑定し、国永作と確認した。国内に現存する国永の刀剣は数点しかなく、原田名誉教授は「国の重要文化財級の名品」としている。
剣は全長26.4cm。2021年、神社の蔵に保管されているのが見つかった。柄(つか)で隠れる部分に「国永」と銘があり、表面が錆びていたため、神社が今年6月から鑑定のための修復費用などをクラウドファンディングで募ったところ、約2カ月で国内外から約2,300万円が集まったという。
神社によると、国永は日本刀が作られ始めた時期に京都で活躍した刀工。国永作の名刀「鶴丸」は宮内庁が保管している。

大阪 枚方・茄子作遺跡で窯跡見つかる

大阪府枚方市は、弥生時代後期から古墳時代中期(3〜5世紀)の集落だった「茄子作(なすづくり)遺跡」(所在地:枚方市茄子作)で、5世紀前半の窯跡3基が見つかったと発表した。これまで須恵器が大量に出土していたが、窯跡が見つかったのは初めて。
傾斜地をくり抜いた登り窯構造で、3基とも胴体部分の焼成部が「確認された。1号窯は長さ約5m、2号窯は約9m、3号窯は約10m残っていた。3号窯のみ煙が抜ける煙道部が残存していたが、火を起こしていた焚き口はいずれも失われていた。
市によると、今回見つかった窯跡で、5世紀頃に朝鮮半島から伝来した初期の須恵器が生産されていたとみられる。

カイロ郊外「大エジプト博物館」開館 日本が842億円の円借款

エジプトの首都カイロ郊外のピラミッド近くに、日本の支援で建設された「大エジプト博物館」が11月1日、全面開館し記念式典が開かれた。同式典には約40カ国の首脳らが参加し、花火やドローン(無人機)ショーなどで開館を祝った。
展示面積は約5万㎡。古代エジプト文明を中心に至宝約10万点を所蔵し、エジプト観光の目玉となる。4日から一般公開される。日本は総工費約10億ドル(約1,540億円)のうち、842億円の円借款供与に加え国際協力機構(JICA)が遺物の保存・修復などの技術を伝授し、人材育成を支えた。
同博物館は2,012年に着工。政変などの影響で開館が何度も延期されており、今回ようやく全面開館にこぎつけた。

江戸時代「寛永行幸」400年経て再現 26年12月, 京都で

江戸時代に後水尾天皇が徳川将軍家の招きで二条城を訪れ、2026年で400年になることを記念した「寛永行幸四百年祭」の概要が発表された。
行幸は行程約2キロ。2026年12月6日に行幸行列を再現する。このほか、2026年春から関連する企画展」を順次開催する。
寛永行幸は徳川幕府が朝廷との融和をアピールするため、1626(寛永3)年に行われた。参列者は各地の大名ら約9,000人に及び、3代将軍・徳川家光の先導で京都御所から二条城へ向かった。再現する行列は、可能な限り当時と同じルートで行われ、数百人規模を予定。

聖武天皇造影の「恭仁京」宮跡で脇殿 京都・木津川市

京都府教育委員会によると、奈良時代に聖武天皇が造営した恭仁京(740?744年)の中心部・恭仁宮跡(所在地:京都府木津川市)で、大型建物跡を示す柱穴3基が新たに見つかった。
柱穴は、宴会などに使われたとされる正殿跡の南約30mの地点で出土した。南北方向に3基並び、柱の直径は40?50cm。この場所を西端として東方向に大型建物が建っていたと考えられる。倉庫や従者らの控室「脇殿」の可能性があるという。
恭仁京の建物跡は今回で「正殿」「後殿」に次いで3例目。府教育委員会では、短命だった都でも仮の都ではなく、中心部の施設は本格的に造営されていたことが分かるーーとしている。