奈良時代の聖武天皇の品やシルクロードを経て伝わったとされる約9,000点の宝物を集めた正倉院(所在地:奈良市)で10月4日、年に1度、宝庫の封を解く「開封の儀」が行われた。午前10時すぎ、勅使の松永侍従や正倉院事務所の職員ら19人が正装姿で到着。宝物が納められた部屋の扉に結ばれた麻縄をハサミで切って封を解いた。11月30日の「閉封の儀」まで宮内庁などが宝物の点検や調査を行う。なお、宝物の一部は10月28日〜11月13日に奈良国立博物館で開かれる「第75回正倉院展」で展示される。
滋賀県 築城450年 安土城のVR復元目指し天主北側で初の発掘調査
太宰治『人間失格』の原体験記した井伏鱒二の佐藤春夫宛て書簡
滋賀・高島市の古墳群 6世紀の継体天皇を支えた勢力が築造
佐藤春夫の新たに100通超の家族宛て手紙 出身地で見つかる
大正から昭和にかけて作家、詩人として活躍し、近代文学を代表する和歌山県出身の佐藤春夫が、家族に宛てて書いた100通を超える手紙が新たに見つかった。これは昭和26年までの35年間に家族に宛てて書かれた手紙など118通で、実践女子大の河野龍也客員教授らが確認した。佐藤の親族から出身地の和歌山県新宮市にある佐藤春夫記念館に寄贈された資料から見つかった。
今回見つかった手紙の中には、親友で作家、谷崎潤一郎の妻だった女性と結婚したことから世間で話題になった際、昭和5年9月、父親宛てに心配する必要はない旨、伝える内容や、脳出血で倒れた佐藤春夫を看病する妻からの7通の佐藤の父親宛てには、入院生活の様子や病状などについて書かれたものもあった。佐藤春夫と家族の意外なほど親密な関係性をうかがわせるものだ。
江戸初期の北海道津波の堆積物分布は内陸2kmまで, 想定より狭い
新潟大学の研究チームは9月18日までに、江戸時代初期の17世紀前半に北海道を襲ったとされる巨大津波について、北海道南部の勇払平野(所在地:苫小牧市)に残る痕跡の分布範囲を明らかにした。結論は、地中の津波堆積物は現在の海岸線から内陸約2kmにとどまり、2020年4月、内閣府の有識者会議が公表した、沿岸から最大約10km、100㎡超の浸水想定より大幅に狭いーとの見解。
調査は2019〜2022年度に実施。計86地点から最深で約1.5〜2mの地層を引き抜き、過去3,000年間の堆積物を調べた。17世紀の地層からは津波によって海から運ばれた海洋性の植物プランクトンを発見。CT分布を追跡したところ、海岸から約2km以遠で確認できなくなったという。