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奈良 菅原遺跡で行基しのぶ供養堂の遺構 比類のない円形建物跡

元興寺文化財研究所は5月20日、奈良市疋田町の菅原遺跡で、8世紀半ばの類例のない円形建物と大規模な回廊の跡を確認したと発表した。ここは東大寺大仏の造立を指揮した奈良時代の高僧、行基(668~749年)ゆかりの寺「長岡院」があったとされる地。同研究所は行基をしのぶ供養堂の遺構で、後世の仏塔建築「多宝塔」の原形の可能性が高いとみている。
遺跡は平城宮跡の西方、標高106mの丘陵上にあり、宅地開発に伴って2020年10月~2021年1月に約1,960㎡を調査。柱穴(直径約21cm)15基が直径約14.5mの円状に並び、その内側にも石を抜き取った跡が円状に確認された。北西側では柱穴の列も見つかり、約40m四方の回廊などが円形建物の周囲を巡っていたとみられる。

伊能「小図」副本発見 江戸後期の伊能忠敬測量隊が作成

日本地図学会の専門部会は5月18日、江戸後期に伊能忠敬(1745~1818年)と測量隊が作製した手描きの「大日本沿海輿地全図」のうち、列島を3枚に収めた「小図」の副本(控え)が新たに見つかったと発表した。
学会によると、幕府に提出した伊能図の正本は明治期にすべて焼失。小図の副本全3枚の現存が確認されたのは、2002年の東京国立博物館所蔵図(国重要文化財)以来2例目という。保存状態も良好で色彩が美麗に残る重文級の発見。
伊能図は縮尺が違う大中小3種あり、小図は縮尺43万2000分の1。副本は測量隊の控えなどとして、正本と並行して作製された。今回の副本は北海道、東日本、西日本を横約1.6m、縦1.5~2.5mの用紙に描き「実測輿地図」と題されていた。

宮沢賢治の詩「S博士に」の直筆草稿見つかる 主治医の蔵書から

2020年、宮沢賢治(1896~1933年)の出身地、岩手県花巻市に寄贈された、故佐藤隆房氏のコレクションから見つかった賢治の作品、詩「S博士に」の草稿が、本人の直筆の可能性が高いことが判明した。
この草稿は、岩手県花巻市の総合花巻病院の前身、花巻共立病院の初代院長だったのが佐藤隆房氏で、賢治の主治医であり「S博士に」のモデルとされる。草稿の真贋判断を担ったのが堀場製作所のグループ会社、堀場テクノサービス(所在地:京都市南区)のX線分析装置。これまでゴッホの絵画や江戸時代の浮世絵の分析に協力しているという。
宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」などで知られる岩手県花巻市出身の詩人・童話作家。

中国の探査機 火星着陸に初めて成功 旧ソビエト,米国に次ぎ

中国の国営メディアは、同国の無人探査機「天問1号」が5月15日午前、初めて火星への軟着陸に成功したと伝えた。火星への着陸は旧ソビエト、米国に次いで3カ国目。探査機に搭載された探査車が今後火星の表面を走行し、地形・土壌など地表面の探査を実施する予定。成功すれば米国に次いで2カ国目となる。

国家と人々の安寧祈願 京都・葵祭「社頭の儀」路頭の儀 中止

京都三大祭の一つ、下鴨神社(所在地:京都市左京区)と上賀茂神社(所在地:京都市北区)の祭礼「葵(あおい)祭」が5月15日あり、祭事の一つ「社頭(しゃとう)の儀」が参列者を限定して行われた。下鴨神社では午前11時ごろ、天皇のお使いが舞殿に昇り、国家と人々の安寧を祈願する祭文を読み上げた。
ただ、葵祭のハイライト、平安時代の雅な貴族の装束で約500人が都大路を練り歩く「路頭(ろとう)の儀」は、新型コロナウイルスの感染拡大で2020年に続き中止された。

東大寺 東京芸大が復元した「執金剛神立像」2体を公開

東大寺(所在地:奈良市)は、東京芸術大から寄贈された国宝「執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)」の復元模刻2体を報道陣に公開した。同大は東大寺や東京理科大とともに、科学分析に基づいて、本体を彫刻、彩色し、約10年がかりで完成させたという。
復元を手掛けたのは、東京芸術大学保存修復彫刻研究室の「東大寺法華堂執金剛神立像完全復元プロジェクト」。制作資金の一部はクラウドファンディングで募り、約1,800万円が集まった。
執金剛神立像(高さ173cm)は奈良時代の8世紀中ごろの作。東大寺法華堂で毎年12月16日にだけ公開される秘仏として知られる。寄贈された2体のうち1体は漆を使った技法で現状の姿を模し、もう1体は当時の極彩色を忠実に再現している。なお、
像の一般公開は秋ごろの予定。