広島大学などの調査グループによると、滋賀県・甲良町の西明寺の国宝の本堂で、6世紀後半から7世紀前半の中国・隋の時代の影響を受けたとみられる菩薩の絵が見つかった。国宝の本堂内の黒く煤(すす)けた2本の柱を赤外線で撮影したところ、側面にそれぞれ4体ずつ合わせて8体の菩薩が描かれていることが分かった。
このうち5体は顔の表情や体型、しわの描き方に6世紀後半から7世紀前半の中国の隋の時代の菩薩と多くの共通点がみられることから、研究グループは7世紀後半の飛鳥時代に描かれた可能性もあるとみている。この本堂は、鎌倉時代を代表する建物として国宝に指定されているが、今回の発見により本堂がつくられた時期が大きく遡る可能性が出てきた。
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信長築城の安土城跡で「郭」見つかる 船着き場の倉庫や寺か?
滋賀県が2019年度から進めている「幻の安土城」復元プロジェクトの一環で行われている調査で、安土城跡(特別史跡、滋賀県、近江八幡市安土町下豊浦など)に、これまで知られていなかった「郭(くるわ=曲輪)」と呼ばれる平坦地が複数あることが分かった。滋賀県が地形を赤色の濃淡で表現する「赤色立体地図」を作製し、確認した。
赤色立体地図は、航空機によるレーザー計測で得た3次元データをもとにつくられる。今回の地図で、北側の尾根や谷筋に複数の人工的な階段状の平坦面が見つかった。城の周囲に築いた郭とみられ、戦に備えた防御施設や寺院があった可能性があるという。また、当時はびわ湖が山裾まで迫っていたことから、入り江の郭は船入り(船着き場)で荷物を置いた倉庫だったことも考えられるとしている。
大坂冬の陣図屏風 色鮮やかにデジタル復元 大阪城天守閣で展示
豊臣秀吉亡き後、豊臣秀頼を総大将とする豊臣家と、徳川政権を盤石なものとすることを願う徳川家康を総大将とする徳川家との最終決戦、大坂の陣(1614~1615年)。このうち冬の陣(1614年)を描いた屏風(びょうぶ)が、東京国立博物館に残されている模写本を使って、大手印刷会社の凸版印刷のデジタル技術で色鮮やかに想定復元され、大阪城天守閣(所在地:大阪市中央区)で展示されている。
展示されているのは縦1.7m、横3mの「大坂冬の陣図屏風」で、金箔や金銀泥(きんぎんでい)がふんだんに使われ、江戸時代初期、400年余前の戦乱の様子が色鮮やかに描かれている。この原本は行方不明となっている。
展示室には、大坂城が焼失、豊臣家が滅亡した夏の陣(1615年)を描いた重要文化財の屏風などが展示されている。この展示は10月7日まで。