戦国大名、朝倉氏とその本拠地の城下町の栄枯盛衰を出土品などから体感・学習できる「一乗谷 朝倉氏遺跡博物館」(所在地:福井市)が10月1日、開館した。同施設は、福井県が2024年春の北陸新幹線敦賀延伸開業を控え、観光振興に向けて整備を進めてきたもの。
一乗谷は最盛期には1万人が居住する、地形上、”難攻不落”の大規模な町だったとされる。だが、朝倉氏が織田信長に敗れ焼き払われ、隆盛を誇った戦国時代有数の城下町は表舞台から姿を消した。
ところが、半世紀を超える遺跡の発掘調査で、戦国期の城下町遺構がそのままの姿で表れ、一帯の278haが国の特別史跡に指定されている。
同博物館では数多くの出土品などから厳選した約800点が展示される。朝倉家5代当主、義景の居館の一部を原寸大で再現している。このほか、町並みの巨大ジオラマや川湊「一乗の入江」の石敷き遺構の露出展示もある。
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東北大,JAXA「りゅうぐう」試料に水を確認
東北大学や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究チームは9月22日付の米科学誌サイエンスで、探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った砂などの試料に水が含まれているのを確認したと発表した。
研究チームは大きさ1〜8ミリの砂粒17個を分析。内部構造や鉱物の組成、硬さなどを詳細に調べたところ、試料内の硫化鉄結晶に微小な穴があり、内部に水が閉じ込められているのが見つかった。成分に塩や有機物のほか、二酸化炭素(CO2)が含まれる「炭酸水」で、りゅうぐうの元となった母天体の内部で硫化鉄の結晶が形成された際に取り込まれたと分かった。
地球外で採取された試料から、常温で水が液体となる状態で見つかったのは初めてといい、地球の海の起源解明などにつながる成果と期待される。
大阪「岸和田だんじり祭」3年ぶり通常開催
宝永地震津波超える巨大津波襲来の証 和歌山で確認
ネアンデルタール人の脳 現代人より神経細胞少なかった
ドイツのマックス・プランク研究所などの研究チームは9月9日付科学誌サイエンスに、旧人「ネアンデルタール人」が絶滅した謎の解明につながる可能性がある研究成果を発表した。ポイントとしたのは、変異遺伝子と深い関わりを持つ脳の神経細胞の量の多寡。
4万〜3万年前に絶滅したネアンデルタール人の脳の体積は、現代人と同じだったと考えられている。チームは、現代人で特有の変異がある遺伝子「TKTLI」に着目。この遺伝子は高度な認知機能に関係する脳の前頭葉で働いており、ネアンデルタール人の骨に残ったDNAにはこの変異がないという。
この変異遺伝子をマウスの胎児の脳に加えたところ、神経細胞のもとになる細胞が増え、実際に神経細胞が増えた。一方、この遺伝子の変異をなくした人の細胞で、脳を模した立体組織「脳オルガノイド」を作製すると、神経細胞が少なくなることも確認できたという。
現代人の前頭葉は、ネアンデルタール人に比べ盛り上がった形をしており、神経細胞数が多かったと考えられている。チームでは「現代人との前頭葉の形の違いを遺伝子レベルで明らかにできた」としている。
約19億年前の地層から未報告の微生物化石を発見
東北大学と東京大学らの研究チームは8月29日、約19億年前(初期原生代)の微生物化石、ガンフリント微化石調査の結果、従来の報告にはない形状を持つ、コロニー型、楕円形、細胞組織内包型、有尾型、トゲ型の5つの新型の微生物化石を発見したと発表した。
これらはそれぞれコロニー形成、栄養備蓄、さらに運動性や栄養確保といった生存に有利な機能を発現させたもの。この研究により、原核生物は真核生物の化石が地層に確認され始める約18億〜16億年前より前から機能を様々に多様化させ、進化の”準備”を始めていた可能性が新たに示された。
これらの研究成果は、学術誌「Precambrian Research」に2022年8月19日、オンライン掲載された。