謎の仏像の胎内から重源・快慶の名記した印仏発見

謎の仏像の胎内から重源・快慶の名記した印仏発見

滋賀県教育委員会などによると、MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市)所蔵の木造地蔵菩薩立像(重要文化財)の正体が明らかになってきた。
この仏像の胎内から見つかった、地蔵菩薩の姿をはんこで押し並べた「印仏(いんぶつ)」や札の中に鎌倉時代、東大寺を再興した名僧、重源(ちょうげん)と、当代随一の仏師・快慶の名、奈良の新薬師寺との関係をうかがわせる記述が含まれていたのだ。
同県教委文化財保護課によると、重源と快慶は東大寺南大門の金剛力士像はじめ、各地で寺院と仏像をつくった名コンビ。この2人が寄付集めなどを目的に同時に連名するする例は珍しいという。それだけに、この地蔵菩薩はかなり由緒あるものだったはず-と分析している。
また、印仏の紙の間に供養札も挟まれており、「新薬師寺」の文字があった。地蔵菩薩との関連は不明だが、この像はもともと奈良にあった可能性が高い-と推論している。
この像は13世紀後半の作とされ、高さ52.5㌢。像の表面の虫食いや塗りがはげ落ちるなど傷みが目立ち、台座が不安定だったため、2014年から国の補助を受け、保存修理に取り掛かっていた。その作業の中で当初、空洞と思われていた像の胎内から今回、印仏や札が見つかったもの。

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