私説 小倉百人一首 No.100 順徳院

順徳院
※第84代天皇

百しきや古き軒端のしのぶにも
       なほあまりある昔なりけり

【歌の背景】父、後鳥羽院とともに討幕を計って、政権を朝廷に取り戻そうと苦心した天皇の、古き良き昔(王朝の盛時=延喜・天暦の頃か)への生涯の夢が詠み込まれている。

【歌 意】大宮(皇室の御殿)の荒れ果てた古い軒端には忍ぶ草が生えている。それを見るにつけ、政権が王朝にあって皇室の盛んだった古き良き時代のことが偲ばれ、どんなに偲んでも偲び尽くせない。

【作者のプロフィル】第84代の天皇。後鳥羽院の第三皇子。御母は従二位藤原範季のむすめで修明門院重子。建久8年(1197)9月10日誕生。諱は守成。父後鳥羽院のご寵愛が深く、承元4年(1210)土御門院に代わって即位された。後鳥羽院とともに鎌倉幕府討伐を企て承久の乱後、佐渡へ流された。20余年後、仁治3年(1242)9月13日、46歳で崩御。武事、文事いずれにも優れ、早くから父君から歌の道を学ばれ、歌学にも通じており、「八雲御抄」は歌学史の重要文献。

前に戻る