7世紀の飛鳥の宮殿「飛鳥浄御原宮」復元を 明日香村
奈良県明日香村で、天武天皇、持統天皇の二代が営んだ7世紀のドラマチックな歴史の舞台となった飛鳥の宮殿「飛鳥浄御原宮(あすかきよみがはらのみや)」を復元しようという計画が進んでいる。同村には数多くの歴史遺産が、土の下に眠っている。そこで、宮殿の復元を端緒に「遺跡の可視化」を進め、観光振興や世界遺産登録に弾みをつけたい考えだ。ただ、計画の実現には学術的な検討や財源、景観問題など課題も多い。
宮殿復元の背景にあるのは、ユネスコの世界遺産登録を目指す動きだ。同村などにある遺跡群は「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」として2007年、暫定リスト入りした。ただ今年1月、ユネスコの諮問機関ICOMOS(イコモス)の担当者らが来村した際、もっと分かりやすく遺産の意義を説明できないか-と指摘されたためだ。
だが、現状では復元へのハードルは高い。飛鳥時代の建物は残っておらず、宮殿がどのような建物だったのか、高さや装飾など不明な点が多いからだ。また、同村には景観保全のため、全域に厳しい規制が敷かれ、建物は高さ10㍍以下に制限されている。復元する宮殿の高さが10㍍を超す場合、規制の見直しが必要になる。莫大な費用の負担方法もメドがついていない。3年前に国が復元した平城宮大極殿(奈良市)は、当時の工法を再現する一方、土台の下に免震構造を組み込むなどし、総事業費は約180億円以上に上っている。