遺跡から探る災害復興 高知で「発掘された日本列島」
高知県南国市岡豊町の高知県立歴史民俗資料館で開催中の特別展「発掘された日本列島2016」で、災害復興をテーマにした展示が行われている。火山噴火や大地震、洪水など災害に見舞われた地域がいかに復興したかを遺跡から探る。東日本大震災後の道路整備や高台移転に際して、東北3県で実施された発掘調査の成果も紹介している。展示は12月18日まで。
近年発掘された注目の全国36施設約750点の出土品を展示する企画展では、特別展として災害復興の痕跡が確認された旧石器~江戸時代の7遺跡のパネルや遺物が並ぶ。
圧巻は福島県相馬市の段ノ原B遺跡で見つかった約6,000年前の大地震に伴う地割れの痕跡。竪穴住居が並ぶ高台の縄文集落を分断する長さ92㍍、幅2~6㍍、深さ0.2~2.5㍍の溝状の亀裂だ。溝からは約4,600点の土器や石器が出土し、地震で破損した土器や倒壊した家屋の廃材などのがれきの処理が行われていたことが分かった。遺跡は竪穴102棟が見つかった大集落で、被災後も住民は集落を放棄せず、暮らし続けることを選んだとみられている。
このほか、弥生時代に洪水の土砂で集落が埋まり、丘陵上に”高台移転”したことが分かる玉津田中遺跡(兵庫県)や、富士山の宝永大噴火(1707年)後に積もった火山灰を埋め、耕作土を掘り起こして畑を復旧した「天地返し」の痕跡が確認できる横野山王原遺跡(神奈川県)などが紹介されている。また、東日本大震災後の災害復興工事に伴って発掘された7遺跡についても紹介している。