皇嘉門院別当
※皇嘉門院は崇徳天皇の中宮。作者はこの人に仕えた女別当。
難波江の芦のかり寝のひと夜ゆゑ
みをつくしてや恋ひ渡るべき
【歌の背景】後法性寺入道前関白太政大臣藤原兼実がまだ右大臣だったころ、その家で催された歌合の会で「旅の宿で会った恋」という題で詠んだ歌。
【歌 意】難波の入り江に生い茂っている芦の“刈り根の一節”、そんなかりそめの一夜を契ったばかりに、私は難波の入り江の“澪標(みをつくし)”ではないが、一生恋い慕いながら年月を過ごさなければならないのだろうか。
【作者のプロフィル】皇嘉門院は崇徳天皇の中宮で、法性寺関白藤原忠通のむすめで聖子といった。母は大納言宗通のむすめ。大治元年(1189)中宮となり、永治元年皇太后、久安6年2月門院号を贈られた。作者はこの人に仕えた女別当だ。太皇太后宮亮源俊隆のむすめ。