発掘例ない異形の埴輪 京都・五塚原古墳で出土
京都府向日市埋蔵文化財センターによると、国史跡・乙訓古墳群の一つで、古墳時代前期の前方後円墳「五塚原(いつかはら)古墳」(向日市寺戸町)で、全国の発掘例でも類例のない形状の埴輪が見つかった。埴輪上部が球状で開口部の立ち上がりが低く「朝顔形円筒埴輪」の中で異形の特徴があった。
同センターによると、埴輪は2016年9~10月に古墳の裾部分から出土。80年以上後に築造された近隣の妙見山古墳から運ばれ、五塚原古墳の主の子孫を納めた埴輪棺とみられる。埴輪の破片約300点を接合し、高さ約66㌢・口径約20㌢に復元した結果、埴輪上部が丸みを帯びて円筒形の器台よりも膨らんでおり、立ち上がりが約1.5㌢と開口部の広がりがほぼなかった。
制作方法から朝顔形円筒埴輪に分類できるものの、同埴輪の上部は通常つぼの形にかたどられ、開口部が大きく広がるのが特徴で、今回そうした形状はみられなかったという。
こうした調査・分析結果を踏まえると、丹後地方独特とされる「丹後型円筒埴輪」に外見上の共通要素があるといい、専門家は「製作技術が乙訓地方を介して、ヤマト王権から丹後地方へ伝わった可能性を示す重要な資料」と評価している。
同センターは10月9日まで、向日市寺戸町の市文化資料館で開催中の「先祖の記憶-古墳時代の祖霊観」で、今回復元した埴輪などを展示している。