淡路島で出土の「入れ子」の銅鐸の内部に舌 全国初
兵庫県南あわじ市(淡路島)の石材加工業者の砂山で、4月に発見された松帆銅鐸(まつほどうたく)7個のうち、内側に一回り小さい銅鐸をはめた「入れ子」状態の2組4個について、兵庫県教育委員会は6月26日、コンピューター断層撮影装置(CT)による解析結果を発表した。4個いずれも内部に音を鳴らす青銅製の舌(ぜつ)が1本ずつあることが確認された。銅鐸に舌を内蔵した状態で見つかったのは全国で初めて。
過去の出土例と異なり、舌を外さず、ひもで吊るして音を鳴らす使用状態のまま埋められたとみられる。ひもは見つかっていない。いずれも弥生時代前期末~中期初め(紀元前3~前2世紀)の古い型式。舌はすでに3本見つかっており、7個すべてが舌を伴っていたことになる。
過去に全国で出土した520個以上の銅鐸のうち、舌と一緒に見つかったのは2例3個のみで、舌は外して埋めると考えられていた。
奈良県文化財研究所では「銅鐸埋納ではこれまで約束事として舌を外していた。音を出す祭器として機能を奪う意味があったのだろうが、今回は違った。地域色ではないか。埋めたのは河内や大和、摂津などの畿内集団ではなく、南あわじ市周辺の地域勢力だった可能性が高い」とみている。