国内最古の埋め立て港か 琵琶湖北端 塩津港遺跡

国内最古の埋め立て港か 琵琶湖北端 塩津港遺跡

滋賀県文化財保護協会は7月9日、琵琶湖北端にある塩津港遺跡(滋賀県長浜市)が、12世紀の「埋め立て港」と確認したと発表した。当時の港の多くは、自然の地形を利用しており、埋め立て港としては希少で国内最古とみられる。
塩津港は北陸の物資を京都に運ぶ中継地として栄え、万葉集にも詠まれている。これまで平安時代の神社跡などが見つかっていたが、港の具体的な様子などは不明だった。
今回、船が着岸するための「コ」の字形の垂直護岸(高さ1㍍、全長20㍍)、桟橋(幅1.2㍍、取り付け部分60㌢)、水路(幅2㍍、長さ3㍍)などを確認。湖だった場所を1.5㍍かさ上げし、埋め立てで湖岸が27㍍以上せり出していた。工事は12世紀前半に始まったらしく、約60年間で7回以上の改良工事を確認した。
当時は最新鋭だった板造りの船で使われた長さ約15㌢の船くぎ、高価だった鉄製の鍋や五徳、石製すずりや物差しなども見つかり、当時の仕事の様子や港の繁栄ぶりがうかがわれるという。港は水位上昇で14世紀末ごろに水没した後、約2㌔北に造成し直したとみられる。同協会では「当時の物流、土木工学史を知るうえで重要な遺跡だ」としている。

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