中国の「書聖」王義之の書の写し見つかる
東京国立博物館(東京都台東区)は、4世紀の中国・東晋時代の「書聖」と呼ばれる書家、王義之(おうぎし、303~361年、諸説あり)の書の写しが見つかったと発表した。この貴重な写しは、縦25.7㌢、横10.1㌢の紙に3行にわたり24文字で書かれ、手紙の一部とみられる。同館の富田淳・列品管理課長が鑑定した。王義之の写しと判断した根拠は①写した文字の輪郭の内側を墨でうめる「双鉤填墨(そうこうてんぼく)」という高度な手法で書かれている②王義之の息子「期」らの名前や、よく用いた表現「日弊」がある③「妹至帖(まいしじょう)」などに字姿がよく似ている-など。
筆使いや文面などから、7~8世紀の唐代に宮中で制作されたものの一部とみられる。王義之は楷書、行書、草書を芸術的な書体へと完成させ、古今第一の書家。優雅で力強い書風は、唐の太宗皇帝など歴代皇帝が愛好した。