5世紀の文字が刻まれた須恵器 石川県・和田山23号墳から出土
石川県能美市教育委員会は9月19日、同市の能美古墳群の和田山23号墳(国指定史跡)から出土した古墳時代中期(5世紀末)の須恵器2個に、「未」と「二年」の文字が記されていたことが分かったと発表した。同市教委によると、文字が刻まれた須恵器としては日本最古という。口径約10㌢、高さ約15㌢の小型のつぼから、約2㌢四方の「未」の文字が見つかったほか、食物を盛る高つきのふたに縦書きで「二年」(縦3.5㌢、横1.3㌢)と刻まれていた。
文字は須恵器を焼き上げる前に刻んだとみられることから、同市教委は工人などより広い階層に文字が普及していたことを示す史料としている。須恵器は5世紀初頭ごろに朝鮮半島から伝わった。当時の北陸地方は朝鮮半島と交流があったと考えられている。須恵器の生産技術のほか、漢字や暦といった先進的な文化を、北陸の豪族が積極的に受け入れていたことがうかがえる。