“差し押さえを心配” 直木三十五の生活ぶり示す手紙
「直木賞」に名を残す作家、直木三十五(さんじゅうご、1891~1934年)の手紙が見つかった。大阪朝日新聞学芸部、白石記者に宛てた速達便で、新聞に連載した小説の原稿料や著作権が、借金のカタに差し押さえられることを心配する内容。
封筒の消印から昭和7(1932)年2月17日の日付が分かり、このころ人気はあったが、金遣いも並みはずれて荒かった大衆作家の暮らしぶりの一端がうかがえる資料だ。
文面は「小生の負債甚だ多く」と切り出し、「或(あるい)ハ著作権差押(さしおさ)へがまいるかもしれず」「もし稿料差押(さしおさ)へが行ったなら全額支払済みと云って下さるか」などと頼んでいる。