天理市で幻の廃寺「内山永久寺」の扁額見つかる
奈良文化財研究所(奈良市)の調査によると、平安時代末期に建立され、江戸時代には大和国屈指の寺院として栄えながら、明治期の廃仏毀釈で廃寺となった「内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)」(奈良県天理市)の扁額が天理市内の民家で見つかった。扁額は門戸などに掲げられる額で、今回見つかったのは長さ約84㌢、幅約43㌢で、寺の院号とされる「金剛乗院」と書かれている。鎌倉時代の書家、藤原教家が1247年に書き、同寺の真言堂に掲げられたものと結論付けた。鎌倉時代の扁額の発見は極めて珍しく、実態が不明な永久寺の解明や書道史の研究に役立つ一級史料として注目される。
内山永久寺は東大寺、興福寺、法隆寺に次ぐ大和国屈指の大寺院で、平安時代の永久年間(1113~1118年)、鳥羽天皇の勅願で建立され、近世の最盛期には60近い坊があったとされる。