ベトナム中南部産つぼ片 堺環濠都市遺跡で出土
大阪府堺市は3月17日、堺区熊野町2丁の堺環濠(かんごう)都市遺跡から、ベトナム中南部産のつぼ片17点が出土したと発表した。「大坂夏の陣」(1615年)で焼けた豪商の屋敷跡だった場所で見つかり、貿易都市として栄えたチャンパ王国産のものとみられる。堺市博物館では、日本とベトナムの交流史を示す貴重な資料としている。
肩の部分に4つの「耳」と呼ばれる飾りが施され、表面に釉薬が塗られた「施釉四耳壺(せゆうしじこ)」の小片で、いずれも8~17㌢。復元すると口径17㌢、高さ34㌢のつぼになる。糖蜜などの物質を運搬する容器として使われていたという。同市の2012年の発掘調査で、深さ約1㍍の地点で見つかった。
堺の豪商が深く関与し、徳川幕府が鎖国政策を取るまでは推進していた朱印船貿易では、ベトナム中南部のチャンパ王国も取引国の一つだった。同国は2~17世紀ごろまで、東西交易の仲介で富を築いたとされているが、実態は分っていない。今回の発見は、同国の歴史の変遷の解明にも役立つと期待されている。