歌麿 水墨の美人画「花魁と禿図」肉筆画見つかる
福岡市美術館は7月22日、江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿(1753年ごろ~1806年)が墨一色で花魁(おいらん)らを描いた肉筆画が見つかったと発表した。墨だけで描いた歌麿の美人画が確認されたのは初めてで、花魁を真正面から描いた作品も極めて珍しいという。
今回見つかった美人画は「花魁と禿(かむろ)図」で、縦117.6㌢、横46.3㌢。正面から捉えた花魁と、その世話をする「禿」の後姿を墨の濃淡や線の強弱で、立体感を持たせて描いている。江戸時代の戯作者、山東京伝の賛文が記されている。寛政2~5年(1790~93年)ごろに描かれ歌麿が円熟期を迎える前の作品とみられる。
歌麿の肉筆画はこれまで約50点が知られているが、美人画の多くは鮮やかな彩色で描かれている。また、花魁の姿を斜めでなく、真正面から描いている点珍しい。