明治産業革命23施設 ユネスコに世界遺産登録を勧告
日本が世界文化遺産に推薦していた「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(福岡、長崎、静岡など8県)について、世界遺産への登録の可否を調査する諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)は5月4日、「登録が適当」と国連教育科学文化機関(ユネスコ)に勧告した。
勧告は「西洋から非西洋国家に初めて産業化の伝播が成功したことを示す」「1853年から1910年までのわずか50年余りという短期間で急速な産業化が達成された段階を反映している」として、普遍的価値があると評価。6月にドイツのボンで開かれる第39回ユネスコ世界遺産委員会で正式決定する。世界遺産委員会でもそのまま認められる可能性が極めて高い。
「産業革命遺産」が登録されれば、日本の世界文化遺産は2014年の「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)に続き15件目、世界自然遺産も含めた世界遺産は国内19件目となる。
産業革命遺産は、通称「軍艦島」で知られる「端島(はしま)炭鉱」(長崎市)、長州藩が西洋式帆船を造るために設置した「恵美須ヶ鼻造船所跡」(山口県萩市)、薩摩藩が手掛けた機械工場や反射炉の遺構で構成する「旧集成館」(鹿児島市)、幕末に実際に稼働した反射炉で国内で唯一現存する「韮山(にらやま)反射炉」(静岡県伊豆の国市)–など、日本の近代化を支えた炭鉱、製鉄、造船などの23施設で構成される。