宮沢賢治が級友に宛てたはがきなど新資料11点見つかる
秀明大(千葉県八千代市)は9月24日、詩人で作家の宮沢賢治(1896~1963年)が学生時代の級友に宛てたはがき8枚など資料11点が新たに見つかったと発表した。真面目で堅いイメージに偏りがちな賢治の、明るくユーモラスな一面が分かる貴重な資料だ。生前、唯一出版された詩集「春と修羅」(1924年)の背表紙をブロンズに塗りつぶした珍しい本も含まれている。
いずれも同大の川島幸希学長が昨年、東京都内の古書店で入手した。書簡は盛岡高等農林学校(現・岩手大農学部)時代の同級生だった成瀬金太郎(1896~1994年)宛て。成瀬が卒業後に働いていたポナペ島(現ミクロネシア連邦ポンペイ)に送った18年4月18日付の手紙では、同封した絵はがきについて<ヌスムモノガアッタラ ヒドイメニアワセテヤリマショウ>と冗談めかして書いている。
また、「春と修羅」の背表紙に、歌人で国文学者の尾山篤二郎が「詩集」と入れたことが賢治には心外で、知人宛てに「ほんの粗硬な心象スケッチ」「ブロンヅの粉で、その二字をごまかして消したのが沢山ある」などと書いたことが知られていた。