「世界津波の日」各地で慰霊・訓練『稲むらの火』世界に

「世界津波の日」各地で慰霊・訓練『稲むらの火』世界に

2015年12月の国連総会で11月5日が「世界津波の日」に制定されて初めて迎えたこの日、日本をはじめ世界各地で被災・犠牲者の慰霊の式典や、地震や津波の発生に備え避難訓練が実施された。
「世界津波の日」は、安政南海地震で大津波が和歌山県・広川町に押し寄せた際、濱口梧陵が収穫した稲わらに火をつけ住民に知らせ、高台に逃れさせた逸話『稲むらの火』にちなんでいる。その広川町では犠牲者を悼む「津浪祭」が開かれ、参加者たちは安政の地震後につくられた堤防に土を盛った。その後、南海トラフ地震が発生し、大津波警報が発令されたとの想定で訓練が行われた。
インドネシア・アチェ州の州都バンダアチェでは、集会で『稲むらの火』の逸話が紹介され、この精神に学ぶとともに、いかに被災した事実を風化させず、後世に伝えるかなどについて話し合った。同地はスマトラ沖大津波で壊滅的な被害を受けたが、人口の流入で当時を知る人が少なくなりつつあるという。また、同地ではこれまでスマトラ沖大津波で被災した12月26日を慰霊の日としていた。また、日本人28人が死亡した津波に被災したタイ・プーケットでも慰霊式典が開かれた。
大阪・堺市では近畿地方整備局や大阪府などが主催する総合防災訓練が行われた。ヘリを使った上空からの救助やがれきの下敷きになった人の救助など、地震や災害に備えた幅広い内容で、参加者たちは真剣な表情で訓練に取り組んでいた。
このほか、4月の熊本地震を経験した熊本市の私立中学・高校でも生徒や教職員らが真剣な表情で訓練に参加していた。
『稲むらの火』は安政年間、1854年11月5日(旧暦)、安政南海地震で大津波が和歌山県有田郡広川町を襲った際、醤油醸造業を営む濱口儀兵衛家(現・ヤマサ醤油)当主で、七代目濱口儀兵衛を名乗った梧陵(雅号)が、収穫した稲わらを燃やして知らせ、村人を高台の広八幡神社へ逃れさせ、津波から救ったとされる逸話だ。

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