村野藤吾設計「幻の工場」八幡製鉄所で発見、今も稼働

村野藤吾設計「幻の工場」八幡製鉄所で発見、今も稼働

日本を代表する建築家の一人、村野藤吾(1891~1984年)が戦時中に設計した日本製鉄(現・新日鉄住金)八幡製鉄所の工場が、北九州市戸畑区に現存し、稼働していることが分かった。刊行されている村野の年譜には設計したとの記録はあるが、実際に建てられたかはこれまで不明で「幻の工場」だった。
今回分かったのは、戸畑地区にあるロール加工工場。幅60㍍、奥行き150㍍の鉄骨造で、新日鉄住金の子会社の日鉄住金ロールズが所有している。1941年に建てられ、当時も今も鉄板を延ばす円柱のロールを製造している。

2019年元日に新天皇即位 新元号は半年前までに公表へ

2019年元日に新天皇即位、新元号は半年前までに公表へ

政府は2019年1月1日に皇太子さまが新天皇に即位し、同時に元号を改める検討に入った。新元号は改元の半年以上前に公表する方向だ。
平成30年(2018年)の区切りで天皇陛下の退位を実現するとともに、国民生活への影響を最小限に抑えるため、新元号は元日から始め、事前に公表することが望ましいと判断した。
政府は一代限りの退位を可能にする特例法案を1月20日召集の通常国会に提出する方針で、陛下の退位日は政令で定めることを法案に明記する。

大河ドラマ「おんな城主 直虎」初回視聴率16.9%

大河ドラマ「おんな城主 直虎」初回視聴率16.9%

ビデオリサーチは1月10日、8日から放送開始されたNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の初回の平均視聴率を発表した。関東地区で16.9%、関西地区で17.3%だった。
今年の大河ドラマは、戦国時代に後継ぎがいなかったことから、遠江・井伊谷(いいのや)地区を領土とした小国を、男の名で家督を継いだ異色の女性(幼少期・おとわ)、井伊直虎の生涯を描く。後の徳川政権下で有力大名の一角を占めた井伊家の礎を築き上げた人物とされる。

薬師寺東塔「心柱立柱式」基壇も補強 20年完成目指す

薬師寺東塔「心柱立柱式」基壇も補強 20年完成目指す

奈良・薬師寺は1月9日、約1世紀ぶりの解体修理が進む国宝・東塔(三重塔・高さ34㍍)の再組み立てを前に、塔の中心を貫く心柱(しんばしら)を立て直し、工事の安全を祈る「心柱立柱式」を営んだ。2020年6月の完成を目指す。
これまで基壇(土台)から外して修理してきた心柱(約4.3㌧)をクレーンで吊り、基壇の中心に戻した。根元を木づちで打ち、無事の完成を願った。
土を何層にも突き固めた「版築(はんちく)工法」が施された創建当初の基壇が、強度を失っていたことが判明したことから、巨大な杭を打ち込み地盤を固め、鉄筋鉄骨コンクリートの新たな基壇を設けるなど最先端の補強工事を行いながら、再組み立てを進める。
東塔は2011年から解体され、部材の調査や補強が行われてきた。また、奈良文化財研究所が年輪年代測定を実施し、奈良時代前半に新築されたことが確定した。

南方熊楠生誕150年 シンポ、展示会など多彩な催し

南方熊楠生誕150年 シンポ、展示会など多彩な催し

世界的な博物学者、南方熊楠(1867~1941年)の生誕150周年となる今年、和歌山県田辺市や地元顕彰会などでつくる「南方熊楠翁生誕150周年記念事業実行委員会」は、シンポジウムや展示会など、年間を通じた様々なイベントを計画している。熊楠の業績と人生に光を当てて遺徳をしのぶとともに、様々な分野の人々との交流を深め、地域経済の活性化につなげたい考え。
記念事業をPRするプレイベントとして、3月4日に明治大学駿河台キャンパスでシンポジウム「宇宙大の熊楠」が開かれる。記念事業としては7月1、2の両日、紀南文化会館で熊楠も親しんだ短歌・俳句の大会を開く。8月19~22日には田辺市文化交流センター「たなべる」で熊楠が専門とした変形菌(粘菌)の国際学会「第9回国際変形菌類分類学・生態学会議」が開催される。
10月22日には同文化会館で記念式典とフォーラムを開催。12月19日からは国立科学博物館で「現在の科学から見た南方熊楠」をテーマにした展示会を開く。

京都・妙傳寺の仏像 実は7世紀の貴重な仏像と判明

京都・妙傳寺の仏像 実は7世紀の貴重な仏像と判明

大阪大学などの最新の成分分析調査などによると、京都・妙傳寺(京都市左京区)の、これまで江戸時代のものと思われていた青銅製の「半跏思惟像(はんかしいぞう)」(高さ約50㌢)が、実は仏教が伝来して間もないころに朝鮮半島でつくられた、極めて貴重な仏像の可能性が高いことが分かった。
大阪大学や東京国立博物館の研究者による鑑定の結果、額に刻まれた模様や装飾品の龍のデザインなどが6世紀から7世紀ごろに朝鮮半島でつくられた仏像や出土品の特徴と一致した。さらに「蛍光X線分析」による、仏像に使われている金属の成分分析で、銅がおよそ90%、スズがおよそ10%で、鉛はほとんど含まれていなかった。こうした割合の仏像は日本や中国にはなく、7世紀ごろ朝鮮半島でつくられた仏像である可能性が極めて高いことが分かったという。
蛍光X線分析は、金属にX線を当て、含まれる成分によって跳ね返ってくるX線の波長が異なることを利用した手法。今回の仏像の由来を解き明かす決め手の一つとなった。