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熊本地震で九州6県の文化財200件超が被災

熊本地震で九州6県の文化財200件超が被災

熊本地震で九州各地の文化財に大きな被害が出ている。文化庁によると4月27日現在、国が指定・選定・登録した文化財の被害は鹿児島県を除く6県で計118件に上る。14日の地震発生後、2週間経過したが、いぜんとして活発な地震活動が続いており、被災件数はさらに増える見通しだ。
熊本県では国の文化財の被災が70件。熊本城(熊本市)の石垣や櫓(やぐら)が壊滅的被害を受け、若き日の夏目漱石が教壇に立った旧制第五高等学校の本館(熊本大五高記念館)も、れんが造りの煙突が折れた。日本三大楼門の一つとされる阿蘇神社(阿蘇市)の楼門も全壊した。大分県でも滝廉太郎が作曲した「荒城の月」の舞台となった岡城跡(大分県竹田市)の石垣に”たわみ”が生じるなどの被害が出ている。
被災件数を県別にみると、国の文化財は最多が熊本で、以下、大分18件、福岡15件など。地方自治体指定の場合、文化庁と異なる集計方法だが、熊本51件、福岡21件、佐賀20件などとなっている。

茶園広がる太閤堤再現へ 京都・宇治市が史跡整備

茶園広がる太閤堤再現へ 京都・宇治市が史跡整備

京都府宇治市が整備を進める国史跡・宇治川太閤堤跡で、堤を築いた後にできた砂州に茶園が広がっていた江戸後期の景観を再現する取り組みが始まった。同市兎道の三室戸小の5年生75人が茶の苗木を植えたほか、5月14日に予定されている植樹イベントでは「昔の茶園をつくろう!」をテーマに、一般から参加者を募集し、取り組みを盛り上げる。
絵図などに描かれた江戸時代の茶園は、現在のような列状ではなく、株と株の間隔が広く、一株ごとの島状に栽培されていた。勝和30年ごろまでは宇治市内でも多く見られたが、次第に姿を消し、現在ではほとんど残っていない。
宇治市は史跡整備の取り組みとして、発見された太閤堤を埋め戻した真上に、豊臣秀吉によって築かれた当時の堤を再現するとともに、茶園として利用された江戸後期の様子を再現する。茶園は約2300平方㍍。遺跡の壮大さを体感するとともに、歴史の流れを感じてもらえるものにしたいとしている。

四天王寺で「聖霊会舞楽大法要」雅の平安絵巻ほうふつ

四天王寺で「聖霊会舞楽大法要」雅の平安絵巻ほうふつ

大阪・四天王寺(大阪市天王寺区)で4月22日、毎年の恒例行事「聖霊会(しょうりょうえ)舞楽大法要」が執り行われた。同寺を創建した聖徳太子の命日(旧暦2月22日)にちなみ、毎年4月22日に行われる同法要。
同寺で約1400年の歴史を誇る重要な行事で、聖霊会の舞楽は重要無形民俗文化財にも指定されている。平安時代には都の貴族の四天王寺詣の楽しみだったとも伝わる。
当日は多くの観覧客が見守る中、重要文化財の石舞台で四天王寺-山衆僧による聖徳太子を称える声明で始まり、天王寺楽所による雅(みやび)で絢爛(けんらん)豪華な平安絵巻を彷彿(ほうふつ)させる舞楽が披露された。

東大寺・東塔跡で「七重塔」示す瓦が大量出土

東大寺・東塔跡で「七重塔」示す瓦が大量出土

東大寺、奈良文化財研究所、奈良県立橿原考古学研究所は4月22日、奈良時代に創建され、高さ70~100㍍の七重塔だったとされる東大寺(奈良市)東塔跡から、「七」の文字が刻まれた鎌倉時代の瓦がまとまって出土したと発表した。
「七」は七重塔を意味するといい、鎌倉時代の東塔再建に使われたとみられる。瓦は昨年度の調査で出土した鎌倉時代の基壇周辺から計30点以上出土。「七」が中央に入った直径15㌢の軒丸瓦と、左右反転した軒平瓦の2種類あった。過去にも同様の瓦は見つかっていたが、どの建物に使われたかは分かっておらず、今回基壇周辺でまとまって出土したことで東塔に使われたと分かった。
東大寺は創建当初、大仏殿を挟んで東西に塔が並んでいたが、東塔は平安時代、隆盛を誇った平家の”南都焼き討ち”で焼失。鎌倉時代に再建されたが落雷で再び焼失し、基壇だけが残っている。瓦などは4月29~5月13日、東大寺ミュージアム(奈良市)で公開される。

土方歳三の愛刀 4/29から京都・霊山歴史館で公開

土方歳三の愛刀 4/29から京都・霊山歴史館で公開

京都の霊山歴史館(京都市東山区)は4月21日、新選組の副長、土方歳三が愛用したとされる刀「大和守源秀國(やまとのかみみなもとのひでくに)」が、新たに収蔵品に加わったと発表した。29日から同館で一般公開する。
刀は1866(慶應2)年8月の制作。長さ約69㌢で「大和守源秀國 秋月種明懇望帯之」と銘打たれ、裏に「幕府侍土方義豊戦刀 慶應二年八月日 秋月君譲請高橋忠守帯之」と土方の名前が入っている。鞘(さや)にはきらめく螺鈿(らでん)が施されていた。
同館によると、刀は戊辰戦争で土方が宇都宮、会津などへ転戦する中、共に戦った会津藩士、秋月種明に贈られたもの。会津藩に従って入洛した刀工・秀國にオーダーメードした可能性が高いという。今回、同館が東京都の所有者から購入した。しゃれた細工ながら、実践を重んじた土方の性格を感じさせる刀だ。

近代造船技術の礎「ヘダ号」再建プロジェクト立ち上げ

近代造船技術の礎「ヘダ号」再建プロジェクト立ち上げ

静岡県東部の経営者や学識経験者らが、江戸時代末期、駿河湾で沈没したロシア艦「ディアナ号」の代替船として現在の沼津市戸田(へだ)地区で建造され、ロシア人乗組員を母国に送り届けた「ヘダ号」を復元する「ヘダ号再建プロジェクト会」を立ち上げる。4月23日に同市内で発足式を開く。
海を生かしたまちづくりを推進する民間団体「セイルタウンNUMAZUクラブ」が同会の中核となる。日本の近代造船技術の礎であるヘダ号を再建することで、史実を伝える地域の象徴的存在とし、これをまちづくりに活用しようというもの。
復元する船は50人乗りを予定。構造は原型に倣うが、安全性を考慮して材料はFRP(繊維強化プラスチック)を用いる。エンジンを装備し、機動性を高める。