平 兼盛
忍ぶれど色に出でにけりわが恋は
ものや思ふと人の問ふまで
【歌の背景】忍ぶ恋の歌。恋の思いは人目に隠そうとすればするほど、素振りや顔色にそれが表れて、ついに人に不審に思われる。平安朝時代を代表する秀歌の一つ。
【歌 意】誰にも気付かれないようにと、必死にこらえてきたけれど、とうとう外(顔色・態度など)に出てしまったなあ私の恋は。何か物思いをしているのかと、人が不審に思って(どうしたのかと)尋ねるくらいに。
【作者のプロフィル】光孝天皇の皇子是忠親王の曾孫。太宰少弐篤行の第三子。和歌が上手で漢学に優れ文才があったので、天皇に認められた。天暦4年(950)に平姓を称した。赤染衛門の父ともいわれるが、定かではない。諸国の国司などを経て天元2年駿河守になった。正暦元年(990)12月没。