源重之
風をいたみ岩うつ浪のおのれのみ
くだけてものを思ふころかな
【歌の背景】激しい片思いの嘆きを詠んだもの。上二句「風をいたみ岩うつ浪の」は次の「おのれのみくだけてものを思ふ」の序。
【歌 意】風が烈しくて岩にぶつかる波が砕け散るように、恋しい人を思って私だけがあれこれ心を砕いてもの思いするこのごろだ。
【作者のプロフィル】清和天皇の皇子貞元親王の孫。父は侍従兼信。おじの参議兼忠の養子となり、康保4年に左近衛権将監となり、累進して貞元元年相模権守となり、藤原実方について陸奥に下った。長保2年(1000)任地で没