中納言敦忠
※藤原時平の子。
あひみての後の心にくらぶれば
むかしはものを思はざりけり
【歌の背景】後朝(きぬぎぬ=夜をともにした男女が翌朝別れること、またその朝のこと)の歌。叶えられた恋によってさらに募る思いの深さを巧みに訴えている。
【歌 意】恋い焦がれて、やっと逢って契りを結んだというのに、別れを惜しんで帰ってきたばかりのこの切ない気持ちはどうしたというのでしょう。今のこの気持ちに比べると、まだ逢わずに恋い慕っていたのは、とても恋のもの思いとはいえないようなものでした。
【作者のプロフィル】藤原時平の子。母は筑前守在原棟梁のむすめ。延喜17年に12歳で昇殿、延長6年従五位上、左兵衛佐になり、昇進して天慶5年権中納言、従三位となった。和歌だけでなく管弦にも優れ、源博雅三位と並び称された。天慶6年(943)3月、38歳で没。