福井大学は8月20日、染料メーカーの有本化学工業(本社:大阪府八尾市)、金沢工業大学と共同で、ポリプロピレン繊維を染色する染料を繊維業界で初めて開発したと発表した。これにより、今後はアパレル企業やスポーツウエアブランドへの展開に道を拓くものとみられる。
今回開発した染料は、水を使わず二酸化炭素で染色する技術「超臨界二酸化炭素染色」を活用。染料とともに二酸化炭素を高温・高圧にして、気体でも液体でもない、”超臨界流体”と呼ばれる状態にし、水の代わりに繊維を染め上げる。水を使わない技法で染めるため、環境にやさしく色落ちもしにくい。すでに染料とこれを用いた染色法は3者共同で特許を取得した。
ポリプロピレン繊維はこれまで、通常の染色法では染まらないほか、樹脂にあらかじめ色素を練り込む方法では、細い繊維が紡糸できないことなどから衣料用には不向きで、産業資材など非衣料分野の素材とされてきた。