私説 小倉百人一首 No.68 三条院

三条院
※冷泉天皇の第二皇子。

心にもあらでうき世に長らへば
       恋しかるべき夜半の月かな

【歌の背景】三条天皇が眼病のために退位しようとご決心されたころの歌。ご退位の決意は病気だけではなく、藤原氏の専横が露骨になってきた時期だけに、権力の煩わしさから自由になりたいと思われたとも考えられる。こんな美しい月も、この目が見えなくなっては眺めることもできない。そんな心境を詠まれたもの。

【歌 意】つらいこの世にこれ以上生きながらえたくもないが、もし不本意にも生き続けるようなことがあるなら、今宵不自由な目で眺めた夜半の月を恋しく思い出すことだろう。

【作者のプロフィル】三条院は冷泉天皇の第二皇子。いみ名は居貞。母は藤原兼家のむすめ超子。寛弘8年(1011)36歳で一条天皇のあとに即位。在位五年で長和5年病弱のため譲位。翌年寛仁2年(1017)出家。失意のうちに崩御。在位中二度も皇居が炎上し、目が悪くて遂には失明するなど、幸福な生涯ではなかった

前に戻る